- 出版社/メーカー: アール・アンド・シー
- 発売日: 2007/11/28
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 38回
- この商品を含むブログ (157件) を見る
これは想像以上に面白かった。ただ、「映画」というよりはやはり「コント」の延長と捉えた方がいいし、これから観に行く人もあらかじめそういう期待の持ち方をしておかないと、笑い所をつかみ損ねてしまうかも知れない。
数年前に松本人志が制作していた「ビジュアルバム」というビデオ作品のシリーズを、映画のスケールに引き伸ばしたようなものだと思えばいいだろう。 たけしの映画と比較可能なものとして観ようとするのは間違いだ。
お笑い作品である以上、ネタバレはもちろんタブーなので、内容そのものにはここでは触れないでおく。
パンフレットには、カンヌ国際映画祭の「監督週間」に処女作で招待されることが如何に凄いかということが書かれていたりもしたが、この作品が映画祭に出品されて「映画」として批評されることにあまり意味はないだろうし、「映画」の歴史に残ることもなさそうな気がする。2000年に制作された『伝説の教師』がドラマらしいドラマに仕上がっていて、逆に芸人としての松本人志らしさの薄い作品だったのとは対照的である。
もちろん、この作品がなじまないようなものとしての「映画」という枠組みが存在することに、必然性があるわけではない。また、それを維持しなければならないと言う気もしない。分野間の垣根なんてものはそもそも気軽に乗り越えられて然るべきだと思うので、こういう作品が本当にカンヌで上映されてしまうこと自体は興味深いと言えば興味深いし、映画批評の対象になること自体にも文句はない。
個人的に私が、この作品は「お笑い」として、「コント」の延長として楽しめればそれで十分だということである。
ところで、映画館で私の左斜め前の席に、60歳前後の白髪の男性が1人で座っていた。私の連れが、そのおじいさんのいかにも保守的な顔つきと出で立ちを見て、「『大日本人』っていう題名だけ見て、勘違いして来たんやろな」と言っていたが、もしそうだとしたらこのおじいさんが一番おもしろい。