The Midnight Seminar

読書感想や雑記です。近い内容の記事を他のWeb媒体や雑誌で書いてる場合があります。このブログは単なるメモなので内容に責任は持ちません。

2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

渡邊二郎『芸術の哲学』(ちくま学芸文庫)

アリストテレスの詩論、ニーチェの悲劇論、ハイデガーの存在論、ガダマーの解釈学を経由して、またそれらを縦横に組み合わせて、「存在論的美学」の立場に立つ芸術の哲学に触れさせるのが本書前半の狙いである。歴史上の大哲学者たちが展開した芸術論をなぞ…

石原慎太郎『俺は、君のためにこそ死にに行く』

G:detail] 映画の思想的、政治的、歴史的、美学的なメッセージがどうのこうのと言う以前に、そもそもテクニカルな次元の話として、漫画的に――いや漫画未満の――いい加減な作りの作品であった。特に脚本が支離滅裂で、プロの仕事としては完全に失格レベルなの…

『マニュファクチュアリング・コンセント』(N.チョムスキー)

1992年に発表され、22個の映画賞を受賞したドキュメンタリーフィルムだ。DVDなのに、なぜかAmazonにもmixiレビューにも「和書」として登録されているので、カタログ更新の提案を送っといた。 ノーム・チョムスキーは「生成文法理論」を創始した言語学者だが…

『論座』が面白い。

右派の論壇誌の、あのほとんど直線的なマンネリズムにはもう金を払う気がしなくなった。 賛成しかねる内容が多くても、最近は左派の雑誌を手に取ってみたほうが、読むに値する記事を発見する確率は高い。 『論座』今月号の目次 http://opendoors.asahi.com/d…

カール・ヤスパース『哲学入門』

本書は、1949年にカール・ヤスパースが行った全12講のラジオ講演を文字に起こしたものである。 たしかに一般向けのラジオ・プログラムではあるようで、読者(聴取者)に専門的な知識を要求しない内容になっている──端的にいえば、他の哲学者の著作への参照が…