
- 作者: 水野敬也
- 出版社/メーカー: ミズノオフィス
- 発売日: 2013/04/23
- メディア: Kindle版
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個人的に、そもそも自己啓発本のたぐいは全く好きではなく、「自己啓発してる暇があったら調べ物とかをした方が有益だわ」と思ってしまうのでこの主の本はほとんど読まないのですが、たまたま必要があって読むことになりました。
本書は一応小説の形になっていて、平凡なサラリーマン生活に嫌気がさしてきた主人公が、酔っ払った勢いで、インドで買ってきたゾウの姿の神様(ガネーシャ)の置物に向って「変わりたい」と泣き叫びながら眠りについて、目が覚めたらその神様・ガネーシャが現れて、主人公を成功に導いてやるといってアドバイスを始めるという話です。ちなみにガネーシャは関西弁を話す。
ガネーシャは自称すごい神様で、アインシュタイン、ニュートン、モーツァルト、ピカソ、ビル・ゲイツなどを自分が育ててきたと豪語している。そして主人公に、変わりたかったら「靴をみがけ」とか「人にプレゼントをしてみろ」とか「トイレを掃除しろ」みたいな、一見地味な課題を出していく。主人公が「そんなことやって意味あるんですか?」と反抗すると、「いやいや俺が育てた歴史上の偉人もそういうことをやってたよ」というエピソードを紹介し、なぜそれが成功につながるのかを説明してやる、というパターンで進んでいくわけです。
たとえば、松下幸之助は、誰よりも早く会社に行って、トイレ掃除をするのを日課にしていたらしい。本田宗一郎は、トイレを工場の隅ではなく中央に配置していたらしいが、その理由は、隅に置いたのでは誰も気にかけずどんどん汚れていくが、工場の中央に置いておけば、みんながきれいにしていくだろうと。なぜこの2人がトイレにここまで気を遣っていたのかというと、ガネーシャ曰く、
「トイレを掃除する、ちゅうことはな、一番汚いところを掃除するっちゅうこ とや。そんなもん誰かてやりたないやろ。けどな、人がやりたがらんことをやる からこそ、それが一番喜ばれるんや。一番人に頼みたいことやから、そこに価値 が生まれるんやろ」
と。まぁ、なるほどと思いました。
こんな調子で、歴史上の偉人のエピソードがたくさん紹介されるし、ガネーシャはときどき気の利いたこともいうので、自己啓発本は個人的に好きではないとはいえ、比較的面白いほうなんじゃないかとは思いました。