- 作者: 吉田公平
- 出版社/メーカー: たちばな出版
- 発売日: 2000/07
- メディア: 文庫
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漢文の原文と、書き下し文と、日本語(現代語)訳が載っている。
以下、抜粋だけ。
学而第一
○ 君子は本を務む。本立ちて道生ず。
(君子は基本になることを懸命にやる。基本が確立すると道が開けます。)
為政第二
○ 人の己を知らざるを患えず。人を知らざるを患う。
(他人が自分を理解してくれないなどと気にせずに、自分が他人を理解していないのではないかと、気にかけなさい。)
○ 吾十五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順う。七十にして心の欲する所に従えども矩(のり)を踰(こ)えず。
○ 故きを温ねて新しきを知れば、以て師となるべし。
(古いことをたずねてそこに新しいことを発見できたなら、その人は先生になってもいい。)
○ 君子は器ならず。
(君子は、専門家にはならない。)
○ 学んで思わざれば則ち罔(くら)く、思うて学ばざれば則ち殆(あやう)し。
(いくら学んでも考えなければすっかり理解できないし、いくら考えても、人に学ばなければ不確かなものだ。)
○ 之を知るを之を知るとなし、知らざるを知らずとなす。是れ知るなり。
(知ったことを知ったとし、知らないことを知らないとする。それが「知る」ということだ。)
○ 義を見て為さざるは勇なきなり。
里仁第四
○ 朝に道を聞かば夕に死すとも可なり。
○ 父母の年は知らざるべからず。一は則ち以て喜び、一は則ち以て懼る。
(両親の年齢は忘れてはならない。一つにはその長生きを喜ぶために、もう一つはその体力の衰えを気づかうために。)
雍也第六
○ 之を知る者は之を好む者に如かず。之を好む者は之を楽しむ者に如かず。
(理解するだけの人は、それを好むものに及ばない。それを好む者も、それを楽しむ者には及ばない。)
○ 中庸の徳たる、其れ至れるかな。
(中庸という徳は至高のものだ。)
※朱子が、「偏らざるをこれ中と謂い、易らざるをこれ庸と謂う。」と解説しているらしい。
述而第七
○ 君子は坦(たい)らかにして蕩蕩(とうとう)たり。小人は長(とこしへ)に戚戚(せきせき)たり。
(君子はゆったりとのびのびしているが、小人はいつも心配ごとをかかえている。)
泰伯第八
○ 曽子言いて曰く、「鳥の将に死なんとする、其の鳴くや哀し。人の将に死なんとする、其の言うや善し。」
(鳥が今にも死ぬ時は、その鳴き声は哀れだ。人が今にも死ぬ時は、その言葉は素晴らしい。)
○ (曽子の発言続き)君子の道に貴ぶ所の者三。容貌を動かして斯(ここ)に暴慢に遠ざかり、顔色を正して斯に信に近づき、辞気を出して斯に鄙倍(ひばい)に遠ざかる。
(君子が道として貴ぶことが三つある。姿かたちを整えれば、手荒さから遠ざかる。顔つきを正しくすれば、信義に近づく。言葉づかいをよくすれば、卑しさから遠ざかる。)
○ 民は之に由らしむべし。之を知らしむべからず。
(人民は道理に従わせることはできるが、なぜそうするのかを理解させることはできない。)
子罕第九
○ 子四を絶つ。意なく、必なく、固なく、我なし。
(先生は四つのことを絶たれた。思いこまないこと、必ずそうすると決め込まないこと、固執しないこと、我を張らないこと。)
○ 忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること毋(なか)れ。過っては則ち改むるに憚ること勿れ。
(忠と信とを基本にすえ、自分より劣る人を友達にしない。過ちを犯したら、さっさと改めること)
○ 三軍は帥を奪うべし。匹夫も志を奪うべからず。
(三軍の総大将を奪うことはできても、一人の男の志を奪うことはできない。)
先進第十一
○ 未だ生を知らず、焉んぞ死を知らん。
○ 過ぎたるは猶お及ばざるが如し。
子路第十三
○ 速やかならんことを欲すれば則ち達せず。小利を見れば則ち大事成らず。
(早く実施したいと思うと、うまくいかない。小さな利に目をくれると、大きな仕事が成就しない。)
○ 君子は和して同ぜず。小人は同して和せず。
(君子は人々と協調はしても雷同はしない。小人は雷同はしても協調はしない。)
憲問第十四
○ 古の学者は己の為にし、今の学者は人の為にす。
(昔の学者は、自分がわかるために学問をしたものだが、今の学者は、人に知られるために学問をしている。)
○ 君子の道なる者三。我焉を能くする無し。仁者は憂えず、知者は惑わず、勇者は懼れず。
(君子の道には三つあるが、わたしにはその能力がない。仁の人は心配しない、智の人は惑わない、勇の人は恐れない。)
○ 人の己を知らざるを患えず。其の不能を患う。
(他人が自分を理解してくれないことは気にしない。むしろ自分に能力がないこと憂う。)
衛霊第十五
○ 子曰く、「賜(し)や、女(なんじ)は予を以て多く学んで之を識す者となるか。」
対えて曰く、「然り、非か。」
曰く、「非なり。予は一以て之を貫く。」
(先生が(子貢に)言われた、「賜君、君は私のことを、あれこれたくさんのことを習って覚えた人だと思っているかな」。子貢がこたえて言った、「そう思っております。違うのですか」。「違うとも。わたしの学問は、一つの主題が貫いているのだ。」)
○ 与(とも)に言うべくして之を言わざれば、人を失う。与に言うべからずして之を言えば、言を失う。知者は人を失わず、亦た言を失わず。
(話し合うべきときに話し合わないと、人材を失う。話し合うべきでないときに話し合うと、言葉を損なう。智の人は、人材を失わず、言葉も損なわない。)
○ 人遠き慮り無ければ、必ず近き憂い有り。
(遠く思いめぐらすことがないと、必ず身近な心配事が起こるものだ。)○ 君子は能くすること無きを病う。人の己を知らざるを病えず。
(君子は才能がないことを憂えるもので、他人が自分を理解してくれないことは気にかけない。)
○ 君子は諸(これ)を己に求め、小人は諸を人に求む。
(君子は自分に求めるが、小人は他人に求める。)
○ 君子は矜して争わず、群して党せず。
(君子はプライドは持っていても争いはしない。大勢でいても、徒党を組まない。)
陽貨第十七
○ 性は相近し、習えば相遠し。
(生まれつきには個人差は小さいのに、習慣によって個人差が大きくなるものだ。)
○ 巧言令色鮮(すくな)し仁。
(言葉巧みに顔つきを和らげる人の中に、仁の人はめったにいない。)
子張第十九
○ 君子に三変あり。之を望めば儼然(げんぜん)たり。之に即(つ)けば温なり。其の言を聴けばはげし。
(君子は3通りに変化する。遠くから眺めると、さも厳かにみえ、近づいてみると穏やかに見え、その言葉を聞くと厳しいものがある。)
堯日第二十
○ (四悪について)教えずして殺す、之を虐と謂う。戒めずして成るを視る、之を暴と謂う。令を慢にして期を致す。之を賊と謂う。猶しく之れ人に与うるなり。出納の吝かなる、之を有司と謂う。
(教育しないでおいて悪いことをすれば死刑に処する。これを虐政という。放任しておいて成績をやかましく言う。これを暴政という。ゆっくり命令を出しておいて、実施を急がせる。これをだまし打ちという。官物を支給するのを自分の私物を与えるような顔をして、出来るだけ値切る。これを官僚主義という。)
※だいたい「子曰く〜」なので、「子曰く」は引用から削った。孔子以外の発言の場合は発言者を示す。
※現代語訳は、基本的に本書の吉田公平訳だが、見ながら打ち込むのがめんどうだったので適当に書いた所も多い。
※最後だけ、吉田の訳は意味不明なので、ネット上で岩波現代文庫の宮崎市定訳を拾ってきた。
『論語』は、学生時代は有名なセリフが出てくる最初のほうだけパラパラ見るぐらいだったので、改めて通読しました。
本書は現代語訳が下手であんま参考にならんな……。
『論語』って案外、通して読むと大半はつまらん内容ですが、うまい逆説みたいなのが所どころ出てくるのでさすがだなと。(「逆説」でありさえすれば真理であるとは言えないけど、真理はだいたいの場合「逆説」の形で現れるもんだと私は思う。)