The Midnight Seminar

読書感想や雑記です。このブログの裏で始めた統計&プログラミングのブログのほうがアクセスが伸びてしまい、こっちが裏みたいになってます。

人文社会科学の必読古典文献リスト(知人向け)

必読書リストについて

 大学の教員をやってる友人から、人文社会科学の必読書の一覧はないかと言われて、このエントリを書いています。
 ニューアカというかポストモダン系の人たちがまとめた『必読書150』っていうブックガイドがあるんですが、私はポストモダン思想に共感はしないものの、文系の大学生・大学院生が読むべき古典の一覧表としては、今のところこれが一番なんじゃないかと思っています。
 「必読書リスト」みたいなものを掲げると、まぁみんな色々言いたいことが出てくるものです。「これは不要」「あれが入ってない」など好みに基づく各論もあれば、そもそも「古典偏重の教養主義は時代遅れ」とかいう批判もあります。でも私はやはり、「よく言及されているので、読んでるに越したことはない本」の一覧はあった方が良い思っています。
 過去のエントリで、必読書リストについて思うことや、古典を読むことの意義についても書いたことがあります。
 
 
 『必読書150』の一覧表はここに載っています。
 必読書150のリスト ついでに 東大教師が新入生にすすめる100冊:品川心療内科-日録-SMAPG-Panalion:So-netブログ

 
 
 また、Google Scholarの被引用数に基づく文献リストをまとめたブログ記事があって、かなり参考になります。
 何を読もうか迷った時のために→Googleが選ぶ世界の名著120冊(2013年版) 読書猿Classic: between / beyond readers

 
 基本的には、これらのリストを参考にするべきだと思います。(Googleのほうは人文社会科学という限定ではないですが。)
 以下に、これら(主に必読書150のほう)を参考にしながら出し入れした個人的な必読書リストを掲げますが、こういうのはリストを作っている人物に信用がないと意味がありませんので、本来は私のブログなんかに載せるようなものではないです。
 ただ、知人に伝えるにもブログエントリにしておいたほうが便利だし、ここに書いてある文献名をググってみて読む価値があるかどうか自分で判断して頂くこともできると思って、エントリを起こすことにしました。
 
 

必読書リスト

 以下の文献リストは、『必読書150』の「人文社会科学」カテゴリの必読書リストから、個人的に不要だと思ったものを削り、必読だと思うものを追加したものです。また、『必読書150』の「海外文学」「日本文学」カテゴリからも数偏拾っています。なお、自然科学に属するものも含まれています。
 内容が素晴らしいからとかではなくて、よく言及されるから知っておいたほうがいいという観点でリストアップしています。なので、私自身が読んでいなくて判断が付かないものでも、よく言及されているものは入れています。個人的に名著だと思う本が入っていなかったり、好きになれなかった本が入っていたりもします。ただ、個人的な関心や好みの偏りもある程度反映されていることは間違いないです。


 こういう古典文献は、それぞれを味わって自分の頭でよく考えながら読むことも大事ですが、ある程度は、理系の学生が数学の勉強をするような感じで、最低限のリテラシーとしてノルマ的に読んでいく必要もあると思っています。苦痛を覚えることもあります。なので、労力をイメージしながら読み進められるように、ページ数を付記しておきました(笑)。まぁ内容の難易度も異なるので、薄いから楽ということもないですが。
 専門知としてではなく教養として読むものなので、邦訳を読めばいいと思います。思想書のたぐいは、日本語訳だとややこしくて英語(英訳)版の方が分かりやすいみたいに言われる本もよくあるのですが、岩波文庫なら数百円で買えるものが洋書だと数千円するので、とりあえず邦訳版優先で読めばいいんじゃないでしょうか。
 なお、邦訳書でも買うと高いやつは値段を書いておきました。手元にあるものの値段をみたり、Amazonで調べたりとソースがマチマチなので、目安程度と思ってください。

  • プラトン『饗宴』(181p)岩波文庫
  • プラトン『ソクラテスの弁明・クリトン』(117p)岩波文庫
  • プラトン『国家』(456+493p)岩波文庫
  • アリストテレス『詩学』(356pの半分ぐらいかな?) 岩波文庫
  • アリストテレス『形而上学』(419+457p)岩波文庫
  • アリストテレス『ニコマコス倫理学』(294+306p)岩波文庫
  • アリストテレス『政治学』(494p)京都大学学術出版会,4410円
  • アウグスティヌス『告白』(329+302p)岩波文庫
  • パスカル『パンセ』(644p)中公文庫
  • スピノザ『エチカ』(295+180p)岩波文庫
  • カント『純粋理性批判』(371+357+431p)岩波文庫,他に平凡社ライブラリー,以文社(以文社のものが良いと言われている)
  • ヘーゲル『法の哲学』(404+460p)中公クラシックス
  • ヘーゲル『精神現象学』(491+455p)平凡社ライブラリー
  • ヘーゲル『歴史哲学講義』(363+381p)岩波文庫
  • ショウペンハウアー『意志と表象としての世界』(369+347+308p)中公クラシックス
  • キェルケゴール『死に至る病』(237p)岩波文庫
  • キェルケゴール『不安の概念』(299p)岩波文庫
  • ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』(275+365p)岩波文庫
  • ニーチェ『道徳の系譜』(216p)岩波文庫
  • ニーチェ『善悪の彼岸』(326p)岩波文庫
  • ニーチェ『この人を見よ』(222p)新潮文庫,岩波文庫
  • フロイト「快楽原則の彼岸」(『自我論集』所収)ちくま学芸文庫
  • フロイト『夢判断』(530p+527p)新潮文庫
  • ラカン『精神分析の四つの基本概念』(384p)岩波書店
  • ブルトン『シュルレアリスム宣言』(286p)岩波文庫
  • ハイデッガー『存在と時間』(524+490p)ちくま学芸文庫,岩波文庫,中公クラシックス
  • ハイデッガー『ヒューマニズムについて』(398pあるけど本文は100pもなかったと思う)ちくま学芸文庫
  • ウィトゲンシュタイン「哲学探求」(『ウィトゲンシュタイン全集8』所収,479p)大修館書店,4725円
  • ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(256p)岩波文庫
  • フッサール『論理学研究』(341+298+378+302p)みすず書房,計2万5000円ぐらい
  • フッサール『イデーン──純粋現象学と現象学的哲学のための諸構想』(434+484+227p)みすず書房,計3万円ぐらい
  • フッサール『デカルト的省察』(390p)岩波文庫
  • フーコー『言葉と物』(474p)新潮社
  • フーコー『監獄の誕生』(345p)新潮社,5565円
  • フーコー『知の考古学』(367p)河出書房新社,3045円
  • フーコー『狂気の歴史』(649p)新潮社,6300円
  • デリダ『根源の彼方に──グラマトロジーについて』(395+412p)現代思潮新社,計 7980円
  • ベイトソン『精神と自然―─生きた世界の認識論』(325p)新思策社

 

  • マキァベッリ『君主論』(390p)中公文庫BIBLO,岩波文庫
  • モア『ユートピア』(210p)岩波文庫
  • デカルト『方法序説』(137p)ワイド版岩波文庫
  • ホッブズ『リヴァイアサン』(398+471+522+355p)岩波文庫
  • ルソー『社会契約論』(246p)岩波文庫
  • ルソー『人間不平等起原論』(282p)岩波文庫
  • ロック『市民政府論』(253p)岩波文庫
  • マルクス『資本論』(307+536+433+522+285+529+457+329+207p)岩波文庫
  • マルクス,エンゲルス『共産党宣言』(116p)岩波文庫
  • ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(436p)岩波文庫
  • デュルケーム『自殺論』(568p)中公文庫
  • テンニエス『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト』(225+234p)岩波文庫
  • トクヴィル『アメリカの民主政治』(432+505+613p)講談社学術文庫
  • シュミット『政治的なものの概念』(128p)未来社,1365円
  • ポランニー『大転換 市場社会の形成と崩壊』(632p)東洋経済新報社,5184円
  • シュンペーター『経済発展の理論』(362p+275p)岩波文庫
  • シュンペーター『資本主義・社会主義・民主主義』(689p)東洋経済新報社,4752円
  • ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』(482p)東洋経済新報社,3672円
  • マンデヴィル『蜂の寓話』(404p)法政大学出版局,4860円
  • ハート『法の概念』(553p)ちくま学芸文庫
  • アレント『全体主義の起原』(245+308+345p)みすず書房,計1万4805円
  • アレント『革命について』(478p)ちくま学芸文庫
  • アレント『人間の条件』(549p)ちくま学芸文庫
  • レヴィ=ストロース『野生の思考』(396p)みすず書房
  • レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』(339+449p)中公クラシックス
  • レヴィ=ストロース『親族の基本構造』(912p)青弓社,1万4700円
  • レヴィ=ストロース『構造人類学』(475p)みすず書房,6930円
  • マクルーハン『グーテンベルグの銀河系――活字人間の誕生』(504p)みすず書房,7875円
  • バトラー『ジェンダー・トラブル』(300p)青土社,3024円
  • ウォーラーステイン『近代世界システム』(296p+298p)岩波書店
  • サイード『オリエンタリズム』(456+474p)平凡社
  • アンダーソン『想像の共同体』(358p)NTT出版
  • モンテスキュー『法の精神』(463+433+533p)岩波文庫
  • ミル『自由論』(288p)岩波文庫
  • オークショット『市民状態とは何か』(238p)木鐸社,3150円
  • オークショット『政治における合理主義』(416p)勁草書房,4410円
  • ロールズ『正義論』(482p)紀伊国屋書店,6830円
  • パットナム『哲学する民主主義』(318p)NTT出版,4212円 ←古典とは言わないかな…
  • ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』(477p)中公文庫
  • ベル『主本主義の文化的矛盾』(261+201+277p)講談社学術文庫
  • ハーバーマス『公共性の構造転換』(357p)未来社,3990円
  • ハーバーマス『コミュニケイション的行為の理論』(371+356+434p)未来社,5040円 ×3
  • パーソンズ『経済と社会』(293+239p)岩波書店
  • モース『贈与論』(305p)ちくま学芸文庫
  • ヴェブレン『有閑階級の理論』(391p)岩波文庫
  • ヴェブレン『企業の理論』(332p)勁草書房

 

  • ホメロス『オデュッセイア』(394+365p)岩波文庫
  • 旧約聖書『創世記』(272p)岩波文庫
  • シュペングラー『西洋の没落』(393+414p)五月書房,3990円×2
  • ガンジー『ガンジー自伝』(512p)中公文庫
  • ヒトラー『わが闘争』(506+418p)角川文庫
  • ル=ボン『群衆心理』(302p)講談社学術文庫
  • ソシュール『一般言語学講義』(523p)岩波書店
  • ピカート『神よりの逃走』(212p)みすず書房
  • ピカート『われわれ自身のなかのヒトラー』(294p)みすず書房
  • ボードリヤール『消費社会の神話と構造』(325p)紀伊国屋書店
  • ボードリヤール『象徴交換と死』(565p)ちくま学芸文庫
  • サルトル『嘔吐』(338p)人文書院
  • ベンヤミン『複製技術時代における芸術作品』(187p)晶文社クラシックス

 

  • クーン『科学革命の構造』(293p)みすず書房3024円
  • ユクスキュル『生物から見た世界』(166p)岩波文庫
  • シュレーディンガー『生命とは何か』(215p)岩波文庫

  

  • 内村鑑三『余は如何にして基督信徒となりし乎』(285p)岩波文庫
  • 内村鑑三『代表的日本人』(208p)岩波文庫
  • 夏目漱石『漱石文明論集』(378p)岩波文庫
  • 坂口安吾「堕落論」「続堕落論」「日本文化私観」(『堕落論』というタイトルの評論集に入っており、それぞれ20〜30pぐらいかな)新潮文庫,角川文庫,岩波文庫
  • 岡倉天心『東洋の理想』(221p)講談社学術文庫
  • 岡倉天心『茶の本』(95p)岩波文庫
  • 西田幾多郎『善の研究』(254p)岩波文庫
  • 九鬼周造『「いき」の構造』(190p)岩波文庫
  • 和辻哲郎『風土』(299p)岩波文庫
  • 柳田國男『遠野物語』(144p)新潮文庫ほか
  • 福沢諭吉『学問のすすめ』(206p)岩波文庫
  • 福沢諭吉『文明論の概略』(391p)岩波文庫
  • 福沢諭吉『福翁自伝』(346p)岩波文庫
  • 新渡戸稲造『武士道』(159p)岩波文庫
  • 林房雄『大東亜戦争肯定論』(487p)夏目書房,3990円
  • 丸山眞男『日本の思想』(192p)岩波新書
  • 丸山眞男『現代政治の思想と行動』(585p)未来社,3675円
  • 丸山眞男『日本政治思想史研究』(420p)東京大学出版会,3570円
  • 『近代の超克』(341pのうち有名な座談会は半分ぐらいだったかな)冨山房百科文庫
  • 今西錦司『生物の世界』(208p)講談社文庫
  • 正岡子規『歌よみに与ふる書』(180p)岩波文庫
  • 石川啄木『時代閉塞の現状(他11編)』(206p)岩波文庫
  • 小林秀雄『小林秀雄全作品』シリーズ,新潮社(小林秀雄は短い評論文がメインなので、このシリーズの目次をみて気になったタイトルの文章を適当に読めばいいと思う)
  • 保田與重郎『日本の橋』(179p)新学社保田與重郎文庫
  • 吉本隆明『転向論(他12編)』(374p)新潮文庫
  • 江藤淳『成熟と喪失』(301p)講談社文芸文庫

 
 
 古典文献を挙げるとどうしても、思想系が多くなりますね。社会科学に関していうと、政治学にしても経済学にしても社会学にしても、「基礎」を勉強したいなら「教科書」を読んだほうがいいです。古典を読むことは「教養」として必要だと思いますが、その学問の「基礎」をマスターすることとは別の意味を持つ読書だと思っています。
 
 

『必読書150』の「人文社会科学」リストに載ってたけど外したもの

  • ケージ『ジョン・ケージ 小鳥たちのために』(270p)青土社
  • レオナルド・ダ・ヴィンチ『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』(293+362p)岩波文 庫
  • アドルノ&ホルクハイマー『啓蒙の弁証法』(422p)岩波書店
  • ドゥルーズ&ガタリ『アンチ・オイディプス』(545p)河出書房新社
  • 柳田國男『木綿以前の事』(310p)岩波文庫
  • 時枝誠記『国語学原論』(260p)岩波書店,絶版
  • 宇野弘蔵『経済学方法論』(323p)東京大学出版会,絶版
  • 西田幾多郎『西田幾多郎哲学論集I・II・III』岩波文庫
  • ヴァレリー「精神の危機」(『ヴァレリー・セレクション(上)』所収,10編中の1 編)平凡社ライブラリー,1260円
  • シュミット『政治神学』(208p)未来社,1890円
  • 本居宣長『玉勝間』(396+330p)岩波文庫
  • 上田秋成『胆大小心録』(122p)岩波文庫