2008年に、友人と作成した日本語教科書を韓国で出版しましたが(販売数はだいたい6000部で頭打ちになった模様。まぁ、マズマズかと思います。)、中国向けに別の日本語教科書を企画していて、やっと今年出版にこぎつけそうです(夏ごろの予定)。
まぁ私はプロではないので、日本語原稿部分の執筆・管理を担当した程度で、一応、企画の全体にスタート時から関わっているので著者の一人ということになりますが、実務作業の大半は、日本語教育を専門とする友人たち(日中の大学院生や大学教員)が研究の合間に徹夜作業を繰り返して頑張りました。
出版権等の問題もあるので原稿をここに掲載することはできませんが、どういうお題を扱ったかを紹介します。
今回制作したのは、「21世紀最初の10年」の日本社会を象徴するような「流行語」を取り上げて、それを解説するエッセイを日本語で執筆し、そのエッセイを元に日本語のリーディングを勉強してもらうという教材です。私が担当したのは、全体の企画・運営作業を除くと、エッセイ本文の執筆(19本中6本)と、コラムの執筆(これも6本ぐらい)他の人が執筆したエッセイの編集*1です。
エッセイの文章自体は、語学教材向けなのであまりディープな内容にはせず、あえて「無難」に書いているものばかりですが、それでもここ10年間の「流行語」を振り返って文章を書く(編集する)というのは、けっこう面白い作業でした。自分が全く興味ない分野についても無理やり書かないといけないので、けっこう勉強になった気がするw
「流行語」ってのは、べつにユーキャンの「流行語大賞」に入ったやつだけを指しているのではなく、新聞社が実施する「今年の10大ニュース」とか、『日経トレンディ』の「年間ヒット商品」ランキングとか、ネット流行語大賞とかも参考にしながら、総合的に判断して選んだものです。
でもまぁ結果的には、流行語大賞にも入っているものが多くなりました。ただ、「流行語大賞」と違って、お笑い芸人のネタみたいなやつは全く採用してません。これは、我々制作スタッフとしても全く重要だと思わないし、中国人学生を対象に行った事前のニーズ調査でも、「そんなの興味ねぇ」との結果が出たためです。
今の時点で振り返ると、もうあまり使われなくなっている言葉もありますが、「この10年間に日本で起こったことを紹介する」という趣旨からすれば、そういうものも入れておくべきだと思って採用しています。
また、流行語というより商品名だろ、ってのもありますが、「流行語大賞」でもそういうものが選ばれたりはしているので、流行語として扱いました。
以下、一覧です。
1.自分でも納得の流行語
私個人としても「2000年代の日本を語るならこれは入れとくべき」と思える流行語で、本書に採用したものです。
「草食男子」
⇒ もはや日常語ですよね。
「萌え」
⇒ 2ちゃんねるとかで出だしたことは、ここまで日常語として定着するとはおもわんかった(笑)
「ネットカフェ難民」
⇒ 2000年代を象徴する社会問題の一つです。
「クールビズ」
⇒ これももはや、日常語。
「派遣切り」
⇒ 規制緩和もあり、派遣社員自体が増えていて、「派遣さん」とかっていう言い方も定着しましたね。
「小泉劇場」「聖域なき改革」「構造改革」「刺客」「郵政民営化」
⇒ 小泉ブームはネタとして必須でしょう。
「政権交代」「脱官僚」「政治主導」「マニフェスト」「事業仕分け」
⇒ 民主党政権ネタもまぁ必須ですね。政治がらみは流行語らしい流行語が多い!
「イイネ!」「いいね!」
⇒ これも案外「流行語」ですよね。すでにかなり定着しました。
「〜なう」
⇒ やはりこれも流行語です。
「メタボ」
⇒ これも完全に定着しました。
2.ニーズに合わせて選定した流行語
私個人としては優先ランクは低かったものの、中国の学生を対象として事前に行ったアンケート調査でテーマ・トピックとして人気があったため採用した流行語。
「ファストファッション」
⇒ 案外、まだちらほら目にする言葉ですね。
「自己責任」
⇒ 一時期はやりましたね。
「ドメスティック・バイオレンス」
⇒ これもじつは2000年代に一気に使われるようになった言葉です。
「ブロードバンド・ブログ・SNS・mixi」
⇒ まあ流行語って感じじゃないですが。
「内部告発・食品偽装」
⇒ 一瞬流行りましたね。
「名ばかり管理職」
⇒ まぁ、今となってはそんなになじみのある言葉ではないですが。
「年収300万円」
⇒ もりたくの著書(笑)
「埋蔵金」
⇒ 霞が関埋蔵金のことです。
「負け犬」
⇒ 最近、以前に比べればあまり聞かなくなってきた気もしますが。
「政治とカネ」
⇒ 昔からある言葉ですが、じつは調べると、新聞記事とかに登場する頻度は2010年、小沢一朗関連での登場回数が圧倒的に多いんです(笑)
3.商品名みたいなもんだけど採用した流行語
流行語というよりは商品名みたいなもんだけど、流行語として採用したもの
4.個人的に入れたかった流行語
「2000年代の日本の流行語」として個人的に重要だと思ったが、まぁ語学教材には適切でないものや、事前のニーズ調査の結果落選したもの。
「ケータイ」
⇒ 90年代から使われてますが、爆発したのは2000年代ですね。
「スピリチュアル」
⇒ これってけっこう、日常語として定着しましたよね?
「KY」
⇒ これは2000年代のヒット作の一つだと思う。
「下流社会」「下流」「下流マーケティング」
⇒ 今は「格差社会」のほうがよく使われますけどね。
「韓流」
⇒ まぁかなり流行ったので・・・。
「女子会」
⇒ すっかり日常語として定着しましたね。
「ネット右翼」
⇒ これはかなり2000年代らしいキーワードだと思います。
「アラサー」「アラフォー」
⇒ 定着してます。
「イケメン」「キモヲタ」
⇒ キモヲタはともかく「イケメン」は完全に日常語になりました。Wikipediaによると1999年頃にはじめて使われたようですが。
「リア充」
⇒ 日常語とまではいかないが…。ネットスラングも現代日本を理解するとかなんとかっていう意味では大事な気がする。
2011年まで射程に入れると「ぽぽぽぽ〜ん」を入れないわけにはいきませんが、今回の企画は2010年までが対象です。
*1:学習教材にとして使い易い文章にする必要があるため、文章を少し書き換えたりしている