3週間後に始まる「世界陸上2007」を開催するために、半年前に長居公園のホームレスが強制的に追い出されたわけです。
以下、「長居公園テント村住人による大阪市に対する弁明書」より一部引用。
私は3年前まで調理師として働いていましたが,失業が原因で野宿生活を始めました。万策尽き果てて,飯を食うために止むを得ず,生まれて始めてゴミ箱に手を入れようとしたとき,私がどれほど躊躇したか,あなた方に分かりますか。生きるために必死だったからこそ,それができたのです。決して好き好んでできることではありません。それでも何とか,廃品回収の仕事をしながら食いつないできました。
長居公園内に定住して生活していれば,地域住民の人たちとも関係ができてきます。野宿問題に関心がある人たちも訪れてくるようになりました。そのうち,各方面に人間関係ができて,アルバイトもできるようになりました。
今,私は自立しています。自力で稼いでいます。アパートを借りて家賃を払えるほど稼いではいないけれども,公園の片隅で野宿しながらであれば,何とか生活できています。野宿生活を始めてから,いろいろと苦労して試行錯誤しつつ,地域の人たちと関わりあいながら,今の生活を築いてきました。どこかの銀行や空港会社や娯楽施設などとは違い,行政の手助けは一切なしで生活してきました。今の行政に雇用を創出する能力がないことくらい,誰の目にも明らかですしね。
ところが今,大阪市は「自立支援センターに入所させて『自立』させてあげようとしているのに公園に居残ろうとしているのは,全くけしからん」とほのめかしています。自立支援センターが自立支援施策として有効かどうかという問題もありますが,それとは別に言いたいことがあります。もし私たちが自立支援センターに入所してしまえば,施設自体の閉鎖性のために,地域の人たちと知り合うこともできなくなるし,規則が厳しすぎるせいで,いろいろな人たちと酒や茶を酌み交わしながら語り合うこともできなくなります。もしかしたら,今までテント村で得られていたような仕事が得られなくなり,逆に今までの自立生活が不可能になるかも知れないのです。
私は私なりの方法で必死に自立してきました。それなのに,大阪市は「あなたの自立してきた方法は間違いだ。公園を出て自立支援センターに入りなさい。」とでも言いたげな態度を貫いています。バカにされているような気がします。大阪市が命じるままに自立支援センターに入所して「自立」に向けて努力させられることは,私から見れば,これまでの私自身の自助努力の歴史を否定することに他ならないのです。私の生き様を,私自身が否定しなければならない。人間として,これほどまでに悲しいことがありますか。
ろくに市民のために仕事をするわけでもなく税金を食い潰しているオエライ役人さんたちに,こう言いたいです。自立していないのは,あなた方だ。あなた方に本当の自立とは何かを考えて頂きたい。会社や役所などで,私たちの社会に必要かどうか怪しいような仕事をして給料をもらうのが自立ですか。私たちのように,廃物を拾い歩いて有効利用することが,なぜ自立と言えないのですか。この大量消費社会において,このような私たちの生業は決して非難に値するものではないはずです。また,私たちは毎週末,某所に借りている畑で農作業に従事し,収穫物を自分たちで食べたり,周辺住民の人たちに廉価で販売したりしてきました。行政的には認知しようがないかも知れませんが,これもまた私たちの自立生活の一面です。
そもそも,“働く”とはどういう意味ですか。企業や行政から給料をもらうことですか。金を稼ぐことですか。働くとはどういういうことなのか,そのコンセンサスが社会的にない限り,自立支援なるものを私たちに強要することは許されないはずです。私は,これまで私が築いてきた地域とのつながりを大切にして,これからも長居公園で自分なりに自立し続けていきたいと考えています。
個人的には、長居公園も「世界陸上」なんか誘致するぐらいなら、テント村をさらに誘致したほうが(まじめな意味で)面白い場所、面白い社会になると思う。
上のリンクにあるホームレスの弁明は、詭弁めいた部分もかなり多いとは思うが、こういう元気なホームレスが居るということのほうが、スポーツの大会で馬鹿騒ぎするよりことも、面白いに決まっている。「面白い」とか言ってると怒られるんだろうけど。