The Midnight Seminar

読書感想や雑記です。近い内容の記事を他のWeb媒体や雑誌で書いてる場合があります。このブログは単なるメモなので内容に責任は持ちません。

安倍談話を読んで思い出した「戦前日本の軍事行動の正当性」の話

敗戦後70年の安倍談話を読むと、前半のあたりにちょっとだけ日本のホシュ派が長年言いたがっていたようなことが盛り込まれていて、安倍首相は満足しているのかもしれない。 百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていまし…

「PCやタブレットより紙で読むほうが効率的だ」という実証研究いろいろ

最近職場でペーパーレス化を進めようという号令がかかり,たとえば資料を紙で印刷して説明するのはやめて,データで送って予め見てもらってから打ち合わせするようにしましょうとかいう話になった.すでに,作成中の資料を印刷して相談にきた若手社員を係長…

アメリカの裁判所で起きた珍事について

同級生の女の子に裁かれる犯罪者 アメリカの裁判所で、中学の同級生だった男女が、被告人と裁判官として偶然再会するという珍事があったらしい。 www.huffingtonpost.jp オレンジ色の囚人服を着たアーサー・ブース被告の顔を見て、ミンディー・グレーザー裁…

武力行使の「大義」の問題について

安保法制の問題で、こういう記事があった。 NEWSポストセブン|「ぼく達は戦争に行かないぞ」 若者たちの反戦運動に違和感│www.news-postseven.com 中身を読むと、次のようなことが述べられている。 <この国の法案が通れば、他の国の戦争に日本の若者が巻き…

咳喘息の薬

今日から下の写真のような薬を吸い始めました。 内科でもらってきた咳止めなんですが、先生曰く、「飲み薬を3つ4つ飲んでも、こいつには敵わない」というレベルの強力な吸い薬らしいです。(飲み薬ももらったのですが。) 中には細かい粉末が入っていて、…

マーサ・スタウト著『良心をもたない人たち』("The Sociopath Next Door")が規定する「サイコパス」の特徴

良心をもたない人たち (草思社文庫)作者: マーサスタウト,Martha Staut,木村博江出版社/メーカー: 草思社発売日: 2012/10/04メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 8回この商品を含むブログ (14件) を見る 著者は臨床心理学者。本書の主張は、とにかく「良心を…

大阪都構想の住民投票で明らかになったのは「シルバーデモクラシーの威力」ではなく「若者の浅はかさ」

都構想を誤解している人たち いわゆる大阪都構想についての住民投票*1で反対が多数となり、都構想はめでたく否決されたわけだが、年代別賛否割合のグラフをみて「若者は賛成多数だったのに70代以上の老人の反対が多かったせいで、改革が妨害された」と論じる…

「トップセールス」って英語で何ていうのか?

ビジネス用語の話なんてべつにこのブログに書きたいわけではないのですが、日本語のサイトで調べても適切な情報が見つからなかったので、ちょっとググってみた結果をメモしておきます。将来誰かの役に立つかもしれないのでw 「トップセールス」という言葉は…

JASRACからペギー葉山「南国土佐を後にして」の歌詞の削除要請があった

はてなから1月7日に次のようなメールがきてました。 こちらははてなサポート窓口です このたび、midnightseminar 様のサービスご利用において、歌詞の無断転載が行われており、著作権侵害に相当するとして、著作権管理団体であるJASRAC(一般社団法人日本音…

機能的財政と完全雇用——ラーナーの今日的教訓(M. Forstater, 1999)

昨日読んだ、「機能的財政論」、「消費増税は日本の未来に役立つのか」といったコラムに機能的財政論という言葉が出てきていて、以前中野さんの本の中で読んだことはあったけどよく知らないのでググってみたら、M. Forstater(1999). Functional Finance and …

選挙に行くほうが馬鹿かもしれないし、一票の格差に目くじらを立てなくてもいいかもしれない

選挙に行く奴のほうが馬鹿であるとも言える 昨日ネットをみていたら、 選挙に行かない男と、付き合ってはいけない5つの理由 という記事が話題になっていた。この記事には共感できる部分もあって、3番で言われているように「『なんだかよく分からない』こと…

集団的自衛権に関する憲法解釈は変更されていない?

憲法学者の見解 通勤時間にいろいろ動画の番組を見てるんですが、今さら感がかなりありますけど、集団的自衛権の行使容認とやらについて、憲法学者の木村草太氏がインタビューに出ていたのを見ました。 木村草太氏:国会質問で見えてきた集団的自衛権論争の…

昨日、クルーグマンの講演を聴いてきました。日本に謝りたいそうです。

ちょうど、クルーグマンのコラムを紹介した記事が出ていましたが、じつはクルーグマンは昨日東京の有楽町で講演していて、それを聴いてきました。だいたい、同じようなことを言ってましたね。 日立製作所主催の「イノベーションフォーラム」というやつですが…

イスラム主義に関するメモ

学生時代のメモ 学生時代につくったイスラム主義等に関するノートがみつかったので、テキストに起こしておきます。べつに専門でも何でもなく、趣味的な関心で読書した範囲でのメモなので、どこまで正しいかは不明ですが。 だらだらと書き写しただけの部分は…

慰安婦問題は歴史のテーマとしては“マニアック”

そもそも重要な問題なんだろうか 従軍慰安婦問題について、なんか朝日新聞が「誤報」を認めたとのことで盛り上がってましたが、個人的にはもうあまり興味がもてないですね。*1 十年以上前になりますが、まだ私が19〜20歳ぐらいだった頃にいわゆる「歴史認識…

死刑制度の「象徴的機能」について

こないだF先生と飲んでいた時に、昔、小さな勉強会内で発行していた冊子に私がディスカッション目的で書いた死刑制度論に言及されて、「そういえばそんなこと書いたなぁ」と思っていたら原稿が見つかったのでここに貼り付けておく。分かりやすいように少し改…

ハルマゲドンの話(ウクライナ問題など)

チャンネル桜は3年に1度ぐらいしかみないんですが、たまたまYouTubeに上がってた動画がTwitterで流れてきたのでみました。(↓のリンクは3本続きの動画の2本目。全部はみてないです。) 2/3【討論!】安倍政権への進言・諫言・提言 - YouTube 以下、馬渕…

「集団的自衛権の行使容認」問題についてのメモ

変な議論 間違いもあったので記事を2回ぐらい全体的に書き直しました。 集団的自衛権の行使容認の問題がめちゃめちゃ盛り上がっていて、新聞テレビはほとんど見ていないのでよく分からないが、会社の近くでも連日デモが行われているし、知り合いのFacebook…

「教養の伝達」と「科学の研究」(ホセ・オルテガ著『大学の使命』レビュー)

大学の使命作者: J.オルテガ・イ・ガセット,Jos´e Ortega y Gasset,井上正出版社/メーカー: 玉川大学出版部発売日: 1996/12メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る つい最近、安倍政権の大学改革を批判する記事をいくつか読んだこ…

史上最悪のネットセキュリティ危機と騒がれてる「Heartbleed」問題に関するメモ(よくわかっていない素人レベル)

※2014/4/15 すこし追記 数日前から話題になりまくっているように、Heartbleedと呼ばれるインターネット史上最悪ともいわれるセキュリティ危機が起きているらしい。 私はインターネットの技術をよく分かってないので、具体的に何がやばくて何をしたらいいのか…

Research Blogging——学術研究の業績をブログで広めるためのプラットフォーム

Research Blogging(以下「RB」)という、「査読付きの学術論文を参照して書かれたオリジナルな意見であること」をルールとして書かれたブログ記事をネットワーク化する試みがあって、とても面白いので毎日チェックしています。 Research Blogging(http://r…

“競馬の神様”・大川慶次郎氏の偉大さについて考える——90年代の競馬を振り返って

※ひと昔前の競馬について書きますが、当時はまだ馬齢を満年齢ではなく数え年で数えていた時代で、私のなかでは未だに「クラシック」と言えば「4歳」なので、このエントリも当時の表記に合わせて書いています。 競馬を全然みなくなった 今日、たまたまYouTub…

Rの指数表示はどこまで回避できるのか【結果的に意味がなかったエントリ】

【追記】本文は読まず、コメント欄から読んで下さい。 私は統計も数学もあまり知らないしプログラミングはまったくの素人ですが*1、統計ソフトの「R」というやつがちょっと面白いので使っています。 で、Rで桁数の大きい数値を表示しようとすると、指数表示…

「コンビニ冷蔵庫事件」と「プラカード事件」

いわゆる「コンビニ冷蔵庫事件」に関するブログやらTogetterの記事を読んで、ふと作家の山田風太郎が終戦直後に「プラカード事件」についてのコメントを日記に書きつけていたのを思い出したので、メモしておきます。 コンビニ冷蔵庫事件 7月に、コンビニの…

「古典」を読むことの意義について

読書会 いま、都内で働いてる学生時代の友人たち数名と、様々な分野の「古典」を中心とする読書会を1~2ヵ月に1回ぐらいのペースで行っています。学生時代もやっていたのですが、最近また始めました。分野としては社会科学や歴史を中心としており、古典と…

(補足)福田恆存の「小林秀雄」論

昨日のエントリ(「自意識に詰め腹を切らせる」)で、長年気になっていた「自意識に詰め腹を切らせる」というセリフの出典を確認したのだが、この福田恆存による小林秀雄論は、短い評伝なのに内容が難しくて、久しぶりに「これは何を言ってるんだ……?」と悩…

「自意識に詰め腹を切らせる」

ずいぶん前から探していた文献にようやくたどり着くことができたので、将来、だれかがネットで検索して見つけることもあるかもと思い、メモしておきます。 自意識過剰な人々 先日、ある飲み会で、自意識過剰な人たちについてどう思うかというようなこと話題…

戦前の国語教科書(小1)の『さるかに合戦』のイラストがシュールすぎる

戦前の尋常小学校の1年生で使われていた国語の教科書『國語讀本 巻一』に、サルカニ合戦が載っていて、イラストがたいへんシュールで感動しました。 まず、 サル ガ カキ ノ タネ ヲ カニ ニ ヤリマシタ。 サルが出てきました。これはいいです。 つづいて、…

中岡哲郎『人間と労働の未来——技術進歩は何をもたらすか』(中公新書、1970年)

人間と労働の未来―技術進歩は何をもたらすか (中公新書 234)作者: 中岡哲郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 1970/10メディア: 新書購入: 1人 この商品を含むブログを見る 友人たちと定例的に開いている勉強会で、同じ著者(中岡哲郎氏)の『日本近代技…

日本人はスケーラブルなアーキテクチャを作るのが苦手(伊藤穣一)

2年前のものなので古いですが、↓の動画をみまして、伊藤穣一氏が言っていることを何点かメモしました(発言そのままではなく要約です)。 IT業界のことはよく分かりませんが、日本人は個々には良い物をつくっているのに、全体としてしっかりとしたアーキテ…