The Midnight Seminar

読書感想や雑記です。このブログの裏で始めた統計&プログラミングのブログのほうがアクセスが伸びてしまい、こっちが裏みたいになってます。

昨日、クルーグマンの講演を聴いてきました。日本に謝りたいそうです。

 ちょうど、クルーグマンのコラムを紹介した記事が出ていましたが、じつはクルーグマンは昨日東京の有楽町で講演していて、それを聴いてきました。だいたい、同じようなことを言ってましたね。
 日立製作所主催の「イノベーションフォーラム」というやつですが、後日オフィシャルサイトに抄訳が載ったりするのかな?


 少しメモを取っていたので、思い出せる範囲でメモしておきます。一生懸命全部メモしてたわけではないし、間違ってるとこもあるかもしれないです。

  • 90年代以降の日本経済の不調が続き、はっきりいって欧米は、日本への関心を失っていた。しかしこれは間違いであった。日本の状況は欧米とべつに大きく異なるわけではなく、むしろ現在の欧米経済は過去20年の日本がたどった道を追っているといえる。
  • かつて、スウェーデンのスベンソンという経済学者、ベン・バーナンキ、そして私は、拡張的な経済政策を主張して、日本のpolicy makerたち(たとえば日銀)を批判してきた。この批判は正しかったと思うが、謝らなければならないのは、今は欧米が日本と同じ失敗を犯しているというか、それよりはるかに悪いのだ(「We have done really really badly」とか「much much worse」とか言ってた)。
  • バーナンキも、学者時代は威勢よく日銀のデフレ対策の不足を批判してたのだが、自分がFRBの議長になってみると全然できてない。ヨーロッパはもっとまずいし、スベンソンのスウェーデンでも、日本並みのデフレになっている。
  • 世界中で、ハウジング・バブルの崩壊を引き金としたデフレ化が進行しており、90年代に日本がたどった道をたどるJapanificationが起きていると言っていい。
  • 経済成長がある程度進んで行き詰まると、貿易黒字などでGDPが成長する経済から、負債によってGDPが維持される経済に変わってくる。それがバブルになってそのうち崩壊し、デフレ不況に陥るのだが、日本に続いて欧米も、そして新興国もそういう道を辿ろうとしている。80年代の日本の負債は企業のもので、欧米で起きた負債の膨張は家計のものだという違いはあるけど。

 

  • 以前は中国が貿易黒字を貯めこんでて、不均衡を作り出していたのが問題だったのだが、今はその意味で不均衡の原因になってるのはたとえばドイツだ。中国は逆に、負債をためこんでいる。
  • 今の中国をみれば、80年代の日本と同じようなパターン(成長の維持が難しくなり、負債をためこむようになり、バブルとその崩壊へ……)をたどっているといえる。それよりはるかにやばいかもしれないが。7年前までは貿易で成長してたが、今は完全に、投資によって経済が膨らんでいるという感じ。

 

  • あらためて、日本は世界にとって「useful lesson」だと思う。
  • 日本に関してもうひとつ注目すべきは、人口動態だ。日本の少子化はものすごいが、ヨーロッパも日本と同じような少子化傾向にある。12年前の日本とだいたい同じくらい(?)。日本のほうが深刻なのだが、たどっている道は同じ。
  • 欧米の場合は、低い出生率と移民の増加という組み合わせになっているのだが、日本の場合はひたすら少子化だけが進んでいるという違いがある。まあ文化的な理由だろう。

 

  • ところでイノベーションフォーラムなのでイノベーションの話を一応すると、技術は進歩してると思うのだが、生産性の向上は鈍化している。また、テクノロジーそのものより、そのテクノロジーを使って何をするかのほうが大事だ。
  • 2000年代半ばぐらいまではすごくイノベーションがあったのだが、現在、停滞から抜け出すようなイノベーションは起きていない。ある人が「昔は、そのうち自動車が飛べるようになる未来を想像したものだが、実際におきたのは、Twitterみたいな140文字のメッセージを送る仕組みが普及しただけだった」と言ってた。
  • なお、技術の洗練度についていうと、世界どこへいってもそんなに差がなくなってきているという点も大事。アメリカ人は自分がとても進んでいると思ってるのだが、アメリカにあるものはヨーロッパにもたいていある。

 

  • 民間企業のイノベーション(private innovation)も大事だが、それよりポリシー・イノベーションが大事だろう。たとえば均衡財政なんかにこだわっている場合ではないのだが、これはなかなか、要人と話してもほとんどの人が理解してくれない。
  • 日本のアベノミクスはなかなかのもんだが、言わせてもらいたいのは、これらの政策はスベンソン、バーナンキ、そして私のような学者が15年ぐらい前から言っていたことを取り入れたものだということだ。直接教えたことはないが(笑)
  • 消費税がなんたらかんたら(あまり聴いてなかった)

 
 
あと、新興国ももうダメだとか、最近出たレポートではそこの地域でも所得に対する負債の割合が上がりまくっているとか、経済が長期的に停滞するときに金利政策だけでは(ゼロ金利の制約があるので)どうにもならないという話とか、そういえば80年代って金利はかなり高かったけど経済のboomingを止められなかったよねといったことを言ってたと思うが、いまいち正確に覚えてない。