The Midnight Seminar

読書感想や雑記です。近い内容の記事を他のWeb媒体や雑誌で書いてる場合があります。このブログは単なるメモなので内容に責任は持ちません。

就活についてのメモ


 就職活動(採用活動)関連メモ。

気ままに雑記 就職活動
http://d.hatena.ne.jp/takumasakaguti/20100110


そもそも就活というものはこんなに宗教じみているものなのか。皆当たり前のことを言ってるだけで自分の意思を持っての意見を聞いたことがない。

企業のことがいろいろと聞けて勉強にはなるがあまりに非生産的な物になっていると感じる。


 それはひょっとしたら、企業側が学生を見る場合にも同じことを感じていたりするかもしれない。今はどうかしらんけど、昔の経験で言うと、採用セミナーで何か質問しなきゃと思って「ところで転勤はあるんですか?」とか「研修制度はどうなってるんですか?」とか「一日の仕事の流れは?」とかつまらん質問をしてる学生は多かった気がするけど、それって企業側からみても正直非生産的な採用活動になってしまうのでは。

就職活動の20の心得。
http://d.hatena.ne.jp/officearon/20100113


(6) 「御社の力になりたい」、「人の役にたちたい」では相手はドン引き。
(9) 「自分をリスペクトしてくれる会社を探す」のはやめろ。
(13) スーツとシャツ、男ならネクタイは清潔感を保て。
(15) 学生の自信過剰ほど危険なものはない。自信はもて。ただし謙虚さが大事。
(18) 学生同士で話をするな。就活を経験した人の話をたくさん聞け。ただし親くらい年が離
れた人とは時代が違うので参考にならないこともある。


 これらは非常に同感(笑)
 とくに「学生の自信過剰ほど危険なものはない」は重要だと思う。

今の就活は学生のためになってる? キヤノンMJの"採用出遅れ"宣言
http://b.hatena.ne.jp/articles/201001/690
http://teiki.saiyo.jp/canon-mj2011/contents/dm_2/index.html

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もう一つ、懸念していたことがありました。
新学期が始まったばかりの4月から面接を行うことで、
学生のみなさんから学ぶ機会を奪っているのではないか?

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ちなみに、過熱気味の現在の新卒採用については、はてなブックマークでもしばしば疑問を呈する記事が上がってくるようです。企業と学生の双方に多大な負担を強いる現在のあり方が決して好ましいものではないことは、少なからぬ数の人が感じていることのようです。


 大学3年の冬から就職活動が始まるなんて異常だ、というのはよく聞く話です。経団連の倫理憲章の話も有名です。しかしハッキリ言って、「学ぶ機会を奪っている」なんてことは絶対にあり得ない。奪われているのは「遊ぶ機会」でしょ(笑)
 べつに大学3年の冬から半年間ぐらい就活に専念していたって、長い人生、勉強する時間なんてほかにいくらでもあるだろうに。大学1〜2年の頃に集中して勉強していればかなりのことが学べるわけだけど、「3年の冬から就活が始まるなんておかしい」と言っている人は、みんな1〜2年生のあいだ時間を無駄にせずに勉強しまくった人たちばかりなんだろうか?(まぁそういう人も中にはいるんだろうけど。)
 それに、私は就職してみて自分でも意外だったんだけど、平日に毎日夜11時とか12時とかまで働いていて休日出勤もたまにあるという状況でも、遊ぼうと思えば遊べるし、勉強だってやろうと思えばそれなりにできる(やらないけど)。じつは私も大学3年のときは、就職活動なんて頑張るのは嫌で、学生なのに読みたい本が読めないのは理不尽だ!とか思ったけど、それは「大学を卒業したら“社会人”という牢獄のように不自由な生活が待っていて、自由にできるのは今しかない」という強迫観念があったからに過ぎない。実際には「社会人って、なってみると案外自由♪」なのだ。
 もちろんそういう強迫観念にとらわれてしまうのも仕方のないことで、学生時代には社会人の“気分”みたいなものはなかなか想像できないから、時間的な視野が「大学4年の3月」までしか及ばず、その短い期間のうち半年間を奪われるとなると非常に強い不満を感じてしまう。しかしそれは単に視野が狭いだけの話なわけ。
 社会人生活なんて、すくなくとも20代のうち、そして結婚するまでは、学生生活とあんまかわらなくて、守るべき規則がちょっと増える程度だ。逆に言えば、大学生の間に半年間ぐらい就活に専念しても、とくに失うものなんかない。
 世の中の人間の99%は「平凡な人たち」なわけだけど、彼ら(そして私)がみんな普通にサラリーマンをやっているんだから、社会人生活なんてそんなに大変なものであるわけがないのだ(笑)

就活くたばれデモ@TOKYO
http://d.hatena.ne.jp/noiehoie/20100105/1262702850


就活ってやっぱキモいよね。
いや、まじで。
キモくね?
「自己分析」とか「会社研究」とかいっちゃってるけどさ、自己なんて自己で分析できないって。
会社研究とか業界研究とか言い出すけど、そんなの研究できるはずがない。財務三表でもならべて二十歳やそこらの若い人が「うーん」って唸ってみせたって、なんのご利益もない。
 (略)
それになんですか、あの、「リクルートスーツ」とかいう格好は。あんなのなんで着ちゃうわけ? あんなの着せる方も着せる方なら、着る方も着る方です。みんな同じ格好して/させて、恥ずかしくも何ともないんですかね?
 (略)
「社会人への通過儀礼」とか「自分を見つめ直すいい機会」とか「一生の仕事を見つける為には通らなければ行けない道」とかさ、そういう、戦前の陸軍の「戦陣訓」にも採用されなさそうなあやふやな精神論はさておき、いまの「就職活動」のあり様を考えてみ。
やっぱおかしいでしょ。こんな苦労(それも愚にもつかない苦労)を大学3年生に課しているって、社会として歪でしょ。
で、この「新卒至上主義」ってのは、とどのつまり「プロパー至上主義」と「コミットメント至上主義」という、日本型雇用慣習の悪しき面に一直線でつながっているわけです。
そう考えると、この意味の分からない新卒諸君の就職難というのは、大人にとっても他人事じゃないはず。


 就活が「キモい」というのはまったく同感。「企業分析」や「会社研究」はともかく、「自己分析」とか「自己PR」なんて恥ずかしいことを大学3年生が一斉に始める光景は異様だし、学生が「名刺」を印刷して企業の担当者に配っていたり、面接官に向かって「御社の事業の魅力は〜」とか語っている姿は、いつ見ても違和感以外のものを覚えることができない。マスコミ志望者向けのセミナーはほとんど自己啓発セミナーと化しているし、内定をなかなかとれない学生向けの相談会なんて、「ここは精神病院か!」と言いたくなるぐらい陰鬱な空間だ(精神病院なんて行ったことないので雰囲気知らないんだけど)。
 しかし……そうかと言って有効な対案も簡単には思いつかない。そもそも社会の様々な場面で人間関係のあり方が「マニュアル化」されて「キモく」なっていくのは、何も就活に限ったことではない*1。ファーストフードとかコンビニの店員の応対だって2世代前ぐらいの人から見ればおそらく違和感満々で、未だに「キモい」と思ってる人だって多いだろう。
 「優秀な人材を囲い込みたい」という企業の動機と「優良な企業に入社したい」という学生の動機が、合理化競争、効率化競争に向かえば、就職活動のマニュアル化と早期化は避けられないに決まっている。そしてその競争を制限するのも非常に難しい。経団連の倫理憲章*2のような抵抗だって、単にお互い出し抜かれたくないがためのカルテル、トラストみたいなものに過ぎない。
 就活のキモさに抵抗するということは、めちゃくちゃ大げさに言えば近代合理主義に抵抗する保守主義の運動ということになるわけで(笑)*3、その精神には賛成だけど、ほとんど勝てる見込みのない戦いだと思ったほうがいい。
 だいたい世の中、理不尽なことや摩訶不思議なことは到るところで行われているので、文句を言い出したらキリがない。「べつに就活ぐらい、つべこべ言わずにガンバっときゃいいだろ。実利もあるんだし」というのが個人的な結論です。


 就職活動で役に立ったページまとめ
 http://d.hatena.ne.jp/deepfolte/20090520/1242748893
 ↑ここにまとまっている話は、だいたい正しいものが多いと思うけど、読めば読むほど、就活ってくだらねーイベントだなぁと・・・。

*1:そういや、ベルグソンは『笑い』というヘンな本の中で、「笑うべきことは、注意深いしなやかさと生きた屈伸性とがあって欲しいそのところに、一種の機械的なこわばりがあるという点だ」「生を機械的な方向にため曲げることが、笑いのほんとうの原因である」「自然の中にはめ入れられた機械仕掛け、社会の自動的な規則ずくめ、これこそ要するに我々の到達したおかしい効果の二つのタイプである」と言っていた。社会生活上の「儀式」はすべて潜在的に笑いの種なのだとも。生身の人間として自然に振舞うべきところへ「マニュアル」が導入されれば、そこには必ず笑うべきキモさがあるのだ。

*2:選考は4月以降にしかしちゃだめだとか、内定は10月以降しか出しちゃだめだとかいった一種の紳士協定を大企業は結んでいる。

*3:S・キルケゴール、F・ニーチェ、J・オルテガ、K・ヤスパース等々、たくさんの思想家たちが論じてきたように、「(大衆)民主主義」と「(産業)資本主義」を両輪とする「近代」という時代は、ほっといたらどんどん「キモく」なっていく運命にあるわけです。