The Midnight Seminar

読書感想や雑記です。近い内容の記事を他のWeb媒体や雑誌で書いてる場合があります。このブログは単なるメモなので内容に責任は持ちません。

「循環型社会」論の参考文献

 「循環型社会」論は、トンデモ感あり、スピリチュアル感あり、哲学論と技術論の混同あり、それでもまじめに議論している科学者ありと、けっこうマニアックな世界になっているようです。
 環境問題って意外にあんま関心ある人いないんですが、そのうち人が集まったら「ミッドナイトセミナー」でも勉強会を開きたいと思います。環境系の大学院にいる友達と急に連絡が取れなくなったんですが……。
 以下、とりあえずの参考文献リストです(随時更新)。べつの勉強会で差し当たりの考えを文書に整理してあって、一応その過程で読んだものですが、思いつきで読んでるので網羅性とバランスについては自信はないです。


 柴田本と武田本はベストセラーなので、一般受けするという意味での面白さはあります。
 は必読レベル高(論旨に賛成というより、話題をつかむ上で)。
 ベストを一冊選ぶなら、トンデモ臭がぬぐいきれない面もありますが、『循環の経済学―持続可能な社会の条件』が面白かった。


 《教科書系》
 荏開津典生 『農業経済学』 
 宮本憲一 『環境経済学 新版』
 放送大学テキスト 『物質循環と人間活動』
 細田衛士、室田武ほか 『循環型社会の制度と政策』 ※注文中


 《古典系》
 R.カーソン 『沈黙の春』 ※通読してない
 D.メドウズ 『成長の限界―ローマ・クラブ人類の危機レポート』
 G.ハーディン 『コモンズの悲劇』 (Web版
 宇沢弘文 『自動車の社会的費用』
 J.ハーバーマス 『イデオロギーとしての技術と科学』
 J.ガルブレイス 『ゆたかな社会』 ※未読
 O.シュペングラー 『西洋の没落』 ※通読してない
 T.マルサス人口論
 M.ハイデガー 『貧しさ』
 1992年国連環境開発会議 『環境と開発に関するリオ宣言』 (Web版
 1962年国連総会決議 『天然資源に対する恒久主権』 (Web版


 環境経済系ではK.カップとA.ピグーの超古典があるけど、時間ないしとりあえず読む予定なし。宇沢弘文も、ほんとはもっと専門的な著作を読んだほうがいいんだろうけどめんどくさい……


 《その他一般〜専門書》
 柴田明夫 『食糧争奪―日本の食が世界から取り残される日』
 柴田明夫 『エネルギー争奪戦争』
 武田邦彦 『リサイクル幻想』
 武田邦彦環境問題はなぜウソがまかり通るのか 2』
  (⇒「1」とそれへの批判本についての、あるマルクス経済学者の書評
 武田邦彦 『偽善エコロジー』
 足立治郎 『環境税―税財政改革と持続可能な福祉社会』
 室田武、多辺田政弘、槌田敦ほか 『循環の経済学―持続可能な社会の条件』
  (⇒あるマルクス経済学者の書評
 室田武 『地域・並行通貨の経済学―一国一通貨制を超えて』
 室田武 『エネルギー経済とエコロジー』
 室田武 『入会林野とコモンズ―持続可能な共有の森』
 吉田文和 『循環型社会』 ※未読
 佐伯啓思 『成長経済の終焉―資本主義の限界と「豊かさ」の再定義』
 加藤尚武 『資源クライシス』
 中村修 『なぜ経済学は自然を無限ととらえたか』
  (⇒あるマルクス経済学者の書評
 榊原英資 『食がわかれば世界経済がわかる』



 ▼ざっと読書してみた感じでは、「循環型社会」論には、(とりあえずテキトーに命名しておくと)「リサイクル学派」と「エントロピー学派」と呼ぶべき2つの異なる流れがあることに注意する必要があるように思われます。恐らく、より重要で現実的なのは後者の議論ですね。わかりやすく極端な対比を用いれば、前者は「とにかく使ったものは繰り返し使う」ような技術と社会システムを議論していて、後者は「自然環境がエントロピーを処理できる範囲内で使い捨てる」ような技術と社会システムを議論しているわけです。


 ▼「資源はこの先どうなるの?」「本当に温暖化するの?」といった現実的な議論も大切ですが、それより「どのみち人類はいつか滅びるのに、我々が頑張ることに意味ってあるの?」という哲学的な、ニヒリズムといかに闘うかという思想的な議論も欠かせないので、ニーチェとかも参考文献に挙げた方がいいのかもしれないw