The Midnight Seminar

読書感想や雑記です。このブログの裏で始めた統計&プログラミングのブログのほうがアクセスが伸びてしまい、こっちが裏みたいになってます。

読書メモ

今西錦司『生物の世界』

生物の世界 (講談社文庫 い 26-1)作者: 今西錦司,亀倉雄策出版社/メーカー: 講談社発売日: 1972/01/15メディア: 文庫 クリック: 11回この商品を含むブログ (3件) を見る 今西錦司といえば「棲み分け理論」が有名だが、本書は↓の引用文にもあるとおり、今西が…

村上春樹『1Q84(BOOK3)』

1Q84 BOOK 3作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/04/16メディア: ハードカバー購入: 67人 クリック: 2,031回この商品を含むブログ (663件) を見る 言葉にならないくらい、詰まらなかったです。何だこのネタ切れ感は(笑) もともと、べつに有…

『考えるヒントで考える』

考えるヒントで考える作者: 中野剛志出版社/メーカー: 幻戯書房発売日: 2010/04メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見る ゴールデンウィークに読み返したけど、とても読み易くて面白い! 「考えるヒント」とはもちろん小林秀雄の…

予測学入門(S字曲線のはなし)

世の中のたいていの現象は「S字曲線」で予測できるという、たいへん愉快で怪しい本を読みました。セオダー・モーディス『予測学入門』というやつです。 もう、なんでもS字カーブでいけてしまうんだと。リチャード・フォスターの『イノベーション』という本…

アキレスと亀(ゼノンのパラドックス)

しょーもないネタですが、久しぶりに思い出したので書いておこう。 ゼノンのパラドックスの一つに「アキレスと亀」という有名な問題がある。簡単にいうと、 アキレスは亀よりも速く走れる。 亀の方が前にいる状態で、同時にスタート。 亀がスタート時にいた…

村上春樹『1Q84』

1Q84 BOOK 1作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/05/29メディア: 単行本購入: 44人 クリック: 1,302回この商品を含むブログ (1282件) を見る 1Q84 BOOK 2作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/05/29メディア: 単行本購入: 40人…

T.ヴェブレン『営利企業の理論』(勁草書房)

企業の理論作者: T.ヴェブレン,Thorstein Veblen,小原敬士出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 1996/03メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見る やばい、ヴェブレンの『(営利)企業の理論』面白すぎる。『有閑階級の理論』なんかよ…

楊逸『時が滲む朝』

時が滲む朝作者: 楊逸出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/07メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 34回この商品を含むブログ (78件) を見る 単行本も出ているが、私は月刊『文藝春秋』の9月号で読んだ。 中国人の女性作家・楊逸氏の芥川賞受賞作品であ…

中野剛志『経済はナショナリズムで動く』(PHP)

経済はナショナリズムで動く作者: 中野剛志出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2008/10/25メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 38回この商品を含むブログ (12件) を見る 短めの要約を↑のアマゾンのレビューに書き込んでありますが、詳細に紹介すると↓のよう…

補足(『サブカル・ニッポンの新自由主義』について)

↓のエントリーへの補足。 鈴木謙介は、ワーキングプアやロストジェネレーションの利益を代弁する声が、いつの間にか「新自由主義」=「既得権批判」のロジックに転化していて、より一層の雇用流動化を促しているという逆説的な指摘から『サブカル・ニッポン…

鈴木謙介『サブカル・ニッポンの新自由主義――既得権批判が若者を追い込む』

サブカル・ニッポンの新自由主義―既得権批判が若者を追い込む (ちくま新書)作者: 鈴木謙介出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/10メディア: 新書購入: 11人 クリック: 185回この商品を含むブログ (100件) を見る 新自由主義=既得権批判 鈴木は本書で「新…

 アメリカ経済に関するルポ(著者は全部女性)

数日前、東京で3人の銀行員と飲んだ際に、今売れてる『ルポ・貧困大国アメリカ』(堤未果、岩波新書)が話題になって、面白いと言われたので買って読んでみたら本当に面白かった。いやまぁ内容は一面的だけど。面白いルポって、女性が書いたものが多い気が…

「循環型社会」論の参考文献

「循環型社会」論は、トンデモ感あり、スピリチュアル感あり、哲学論と技術論の混同あり、それでもまじめに議論している科学者ありと、けっこうマニアックな世界になっているようです。 環境問題って意外にあんま関心ある人いないんですが、そのうち人が集ま…

中野剛志著『国力論――経済ナショナリズムの系譜』(以文社)

「経済ナショナリズム」の思想 本書は、マルクス経済学と経済自由主義の陰に隠れて異端扱いされてきた「経済ナショナリズム」の理論の系譜に、光を当てなおす試みである。経済政策は「国家」政策であり、経済学はその政策に示唆を与えるべきものであるはずな…

浅野智彦『自己への物語論的接近――家族療法から社会学へ』(勁草書房)

秋葉原の「通り魔事件」についての文章をまとめていて、その参考の一つとして手にとった本。薄かったし、面白かったし、分かりやすかった。「Life」というラジオ番組のウェブサイトで参考図書に挙げられていたのだが、番組のなかでは事件を解釈するために使…

『社会的排除/包摂と社会政策』

ここ4年ぐらいの間に、「格差社会」が問題として取り上げられることは珍しくなくなった。そして議論はさらに進んで、ジャーナリズムの場で「ワーキングプア」についてのルポが量産されつつあることに見られるように、焦点は「格差」から「貧困」に移ってい…

シェイクスピア『ロミオとジューリエット』(岩波文庫)

シェイクスピアの有名な作品のなかでは、比較的平凡なのかも。 ○ 怪我をしたことのない奴に限って他人の傷を馬鹿にする。(p.70) ○ おお、ロミオ、ロミオ! どうしたあなたはロミオなの? お父様とは無関係、自分の名は自分の名ではない、とおっしゃってく…

ゲーテ『若きウェルテルの悩み』(岩波文庫)

「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ」(ゲーテ) ○ 私はよく知っている。われわれは平等ではない、またありえもしない。しかし、思うのだが、威厳を保たんがためにいわゆる賤民から遠ざかる必要…

岡倉天心『茶の本』(岩波文庫)

岡倉天心は明治時代を通じて活躍した美術研究家である。ちなみに、天心が設立に尽力し、第二代校長を務めた東京美術学校は、現在の東京芸大美術学部だ。 「アジアは一つである」というのは天心がロンドンで出版した『東洋の理想』の冒頭の有名な一文だが、こ…

デュルケーム『自殺論』(中公文庫)

○ 私の実践している社会学的方法は一に帰して、社会的事実はものと同じように、いいかえれば、個人の外部にある実在と同じように研究されなければならない、という基本的原則の上に立てられている。(p.13) ○ 自殺とは本質的に男性的なものの表現である。女…

T.R.マルサス『人口論』(中公文庫)

本書の「人口は、制限されなければ等比数列的に増大する。生活資料は、等差数列的にしか増大しない」(p.23)という命題は、高校の教科書にも載っていてあまりにも有名だ(生活資料=食糧)。人口と食糧の増加の比率については、本書の中にもいくつかの数値…

三浦展『格差が遺伝する』

格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~ (宝島社新書)作者: 三浦展出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2007/05/19メディア: 新書 クリック: 9回この商品を含むブログ (27件) を見る 著者・三浦展は2年前に『下流社会』という大ベストセラーを書いて有名に…

門倉貴史『ホワイトカラーは給料ドロボーか』

ホワイトカラーは給料ドロボーか? (光文社新書)作者: 門倉貴史出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/06メディア: 新書購入: 2人 クリック: 22回この商品を含むブログ (36件) を見る 少し前に話題になった「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入の目的のひ…

『ワーキングプア――日本を蝕む病』(NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班編、ポプラ社、2007年6月)

昨年放送されたNHKスペシャル『ワーキングプア』を書籍化したもの(発売は先月)で、当初は『日本の貧困』というタイトルが予定されていたというように、「働いても働いても生活保護水準以下の収入しか得られない人々」の生活をリポートしたのが本書である。…

『ロストジェネレーション――さまよう2000万人』(朝日新聞「ロストジェネレーション」取材班、朝日新聞社、2006年7月)

私も含めて、ごく普通に大学を卒業して正社員として就職した人間には想像し難いことなのだが、「バイト」や「派遣」などの非正規雇用者のなかに、ほとんどチャップリンの『モダン・タイムス』を思わせるような過酷な労働条件で生活苦を強いられている人が、…

鈴木哲夫『政党が操る選挙報道』(集英社新書、2007年6月)

2年前の総選挙で自民党は300近い議席を獲得した。この歴史的大勝は、もちろん国民が自民党を評価して投票したことによるのだが、国民が何によって自民党を評価したかといえば、メディアが報道する(あるいは街頭で演説する)候補者の声と、メディアの上で政…

ハイデガー『ヒューマニズムについて』(ちくま学芸文庫)

ずいぶん前に読んだ本だが、私が触れたことのある哲学書の中では最高に印象深かった作品のひとつなので、ここにレビューしておく。 存在の真理への問い ハイデガーは「プラトンの真理論」という論文のなかで、プラトンからニーチェに至るまでの西欧哲学を、…

鈴木謙介『ウェブ社会の思想』(NHKブックス)

オンラインゲームのなかに構築されているヴァーチャル・リアリティは、いまやひとつの仮想経済圏を成立させるほどの、そして現実の経済圏とも相互応答しはじめるほどの水準に達している。また、データベースに蓄積された個人情報をコンピュータが分析して、…

西垣通『基礎情報学』(NTT出版)など

同じ著者・西垣の『情報学的転回』(春秋社)、『ウェブ社会をどう生きるか』(岩波新書)、「コレクティヴ・ブレイン」(西垣編『組織とグループウェア』所収, NTT出版)とあわせてレビューしておきます。ちなみに西垣のいう「基礎情報学」は、情報学の初歩…

渡邊二郎『芸術の哲学』(ちくま学芸文庫)

アリストテレスの詩論、ニーチェの悲劇論、ハイデガーの存在論、ガダマーの解釈学を経由して、またそれらを縦横に組み合わせて、「存在論的美学」の立場に立つ芸術の哲学に触れさせるのが本書前半の狙いである。歴史上の大哲学者たちが展開した芸術論をなぞ…