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The Midnight Seminar

読書感想や雑記です。このブログの裏で始めた統計&プログラミングのブログのほうがアクセスが伸びてしまい、こっちが裏みたいになってます。

T.R.マルサス『人口論』(中公文庫)

本書の「人口は、制限されなければ等比数列的に増大する。生活資料は、等差数列的にしか増大しない」(p.23)という命題は、高校の教科書にも載っていてあまりにも有名だ(生活資料=食糧)。人口と食糧の増加の比率については、本書の中にもいくつかの数値…

三浦展『格差が遺伝する』

格差が遺伝する! ~子どもの下流化を防ぐには~ (宝島社新書)作者: 三浦展出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2007/05/19メディア: 新書 クリック: 9回この商品を含むブログ (27件) を見る 著者・三浦展は2年前に『下流社会』という大ベストセラーを書いて有名に…

門倉貴史『ホワイトカラーは給料ドロボーか』

ホワイトカラーは給料ドロボーか? (光文社新書)作者: 門倉貴史出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/06メディア: 新書購入: 2人 クリック: 22回この商品を含むブログ (36件) を見る 少し前に話題になった「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入の目的のひ…

『ワーキングプア――日本を蝕む病』(NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班編、ポプラ社、2007年6月)

昨年放送されたNHKスペシャル『ワーキングプア』を書籍化したもの(発売は先月)で、当初は『日本の貧困』というタイトルが予定されていたというように、「働いても働いても生活保護水準以下の収入しか得られない人々」の生活をリポートしたのが本書である。…

『ロストジェネレーション――さまよう2000万人』(朝日新聞「ロストジェネレーション」取材班、朝日新聞社、2006年7月)

私も含めて、ごく普通に大学を卒業して正社員として就職した人間には想像し難いことなのだが、「バイト」や「派遣」などの非正規雇用者のなかに、ほとんどチャップリンの『モダン・タイムス』を思わせるような過酷な労働条件で生活苦を強いられている人が、…

鈴木哲夫『政党が操る選挙報道』(集英社新書、2007年6月)

2年前の総選挙で自民党は300近い議席を獲得した。この歴史的大勝は、もちろん国民が自民党を評価して投票したことによるのだが、国民が何によって自民党を評価したかといえば、メディアが報道する(あるいは街頭で演説する)候補者の声と、メディアの上で政…

ハイデガー『ヒューマニズムについて』(ちくま学芸文庫)

ずいぶん前に読んだ本だが、私が触れたことのある哲学書の中では最高に印象深かった作品のひとつなので、ここにレビューしておく。 存在の真理への問い ハイデガーは「プラトンの真理論」という論文のなかで、プラトンからニーチェに至るまでの西欧哲学を、…

鈴木謙介『ウェブ社会の思想』(NHKブックス)

オンラインゲームのなかに構築されているヴァーチャル・リアリティは、いまやひとつの仮想経済圏を成立させるほどの、そして現実の経済圏とも相互応答しはじめるほどの水準に達している。また、データベースに蓄積された個人情報をコンピュータが分析して、…

西垣通『基礎情報学』(NTT出版)など

同じ著者・西垣の『情報学的転回』(春秋社)、『ウェブ社会をどう生きるか』(岩波新書)、「コレクティヴ・ブレイン」(西垣編『組織とグループウェア』所収, NTT出版)とあわせてレビューしておきます。ちなみに西垣のいう「基礎情報学」は、情報学の初歩…

渡邊二郎『芸術の哲学』(ちくま学芸文庫)

アリストテレスの詩論、ニーチェの悲劇論、ハイデガーの存在論、ガダマーの解釈学を経由して、またそれらを縦横に組み合わせて、「存在論的美学」の立場に立つ芸術の哲学に触れさせるのが本書前半の狙いである。歴史上の大哲学者たちが展開した芸術論をなぞ…

『論座』が面白い。

右派の論壇誌の、あのほとんど直線的なマンネリズムにはもう金を払う気がしなくなった。 賛成しかねる内容が多くても、最近は左派の雑誌を手に取ってみたほうが、読むに値する記事を発見する確率は高い。 『論座』今月号の目次 http://opendoors.asahi.com/d…

カール・ヤスパース『哲学入門』

本書は、1949年にカール・ヤスパースが行った全12講のラジオ講演を文字に起こしたものである。 たしかに一般向けのラジオ・プログラムではあるようで、読者(聴取者)に専門的な知識を要求しない内容になっている──端的にいえば、他の哲学者の著作への参照が…

『表象〈01〉』

『表象』という、単行本扱いだが雑誌みたいな本が創刊されていて、浅田彰と松浦寿耀という東大教授の対談を読むために買ってみた。 「ともかく、アメリカ的な合理化に耐える人文知が実は重要だと思うので、アメリカ的なプラグマティズムだけが全面化すると人…

ニーチェ

(*´- ェ-`)´- ェ-`)´- ェ-`) 「ひとの歩き方で、はたしてかれが自分の道を歩いているかどうかがわかる。わたしの歩くところを見るがいい! 自分の目標に近づいた者の足は踊りだす。」(ニーチェ) (*´- ェ-`)´- ェ-`)´- ェ-`) 「今後、あなたがたに栄…

浅田彰『構造と力』

構造と力―記号論を超えて作者: 浅田彰出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 1983/09/10メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 156回この商品を含むブログ (126件) を見る ちょうど大学1年生のときに読んだのだが、この本で感心できたのは以下の部分のみかも知れ…

ニーチェ『善悪の彼岸』

久しぶりにパラパラと読み返してみた。(岩波文庫版) ○ 高い感覚の強さではなく、むしろその持続が高い人間を作る。(p.103) ○ 天才をもつ人間は、少なくともその上なお二通りのものを所有しないならば、耐えがたい存在である。すなわち、感恩と、純潔と。…

ツァラトゥストラ

学生時代にやるべきことは2つしかない──ニーチェを真面目に読むことと、キルケゴールを真剣に読むことだ! 『ツァラトゥストラはこう言った』(岩波文庫)より。 「劇務や、スピードや、新奇なものや、異常なものを好むあなたがた全部──あなたがたは自分自身…

キルケゴール『不安の概念』

『不安の概念』はすごい本でした。驚いたことに、岩波文庫が重版されていて、いま友朋堂とかに行けばふつうに新品が買えます。俺は20年前のやつを古本で買ったのに……。 ○ そのかわりに私は、不安を抱くことを覚えるというこのことは、誰もがやりとげねばなら…

ブルトン『シュルレアリスム宣言』

いま日本の若者が「シュールな発想だなぁ」とか言うときの「シュール」は、「シュルレアリスム」(超現実主義)を略したものである。この、20世紀はじめの芸術運動である「シュルレアリスム」とは何なのかが知りたければ、ネットで調べた後にとりあえず本書…

山田風太郎『あと千回の晩飯』

主に老後論と食事論。 一番面白かったのは197頁からの「少年時代の映画」というエッセイで、これは後で覚えていたらコピーしておこう。 小津安次郎、夏目漱石などの食事の記録も紹介されていて面白い。 「それに白内障も悪いことばかりではない。眼は、風景…

メルロ=ポンティ『眼と精神』

最近、「芸術」について書かれた本をいくつか読んでみている。そのうちの一冊。 本書には、メルロ=ポンティの3つの講演と1つの論文が収められている。表題になっている「眼と精神」という論文は、メルロ=ポンティの生前に出版された最後の著作だ。以下、こ…

石川啄木『時代閉塞の状況・食うべき詩 ほか十篇』

啄木の歌集は素晴らしいが、彼の文芸・社会評論もなかなか面白い。明治40年代の文学界や思想界の状況など私はほとんど何も知らない。しかし知らないなりに多くの刺激を受けることができる──賛成できるかどうかはともかくとして。 この文庫本には12編の評論・…

スティーブン・ピンカー『人間の本性を考える 〜心は「空白の石版」か』

人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か (上) (NHKブックス)作者: スティーブン・ピンカー,山下篤子出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2004/08/31メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 57回この商品を含むブログ (114件) を見る とりあえず上巻だけ読んだ…

H・アレント『人間の条件』

人間の条件 (ちくま学芸文庫)作者: ハンナアレント,Hannah Arendt,志水速雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1994/10メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 77回この商品を含むブログ (122件) を見る 本書はアレントの主著のひとつであり、社会思想の領域で私…

マーシャル・マクルーハン『グーテンベルクの銀河系』

グーテンベルクの銀河系―活字人間の形成作者: マーシャルマクルーハン,森常治出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1986/02/20メディア: 単行本 クリック: 30回この商品を含むブログ (36件) を見る 言わずと知れた、メディア論の古典中の古典。しかし7,500円…

J・P・サルトル『嘔吐』

嘔吐作者: J‐P・サルトル,白井浩司出版社/メーカー: 人文書院発売日: 1994/11メディア: 単行本 クリック: 62回この商品を含むブログ (81件) を見る アントワーヌ・ロカンタンという名の孤独な歴史家が、ド・ロルボン侯爵(←誰やねん)についての研究をまとめ…

C.レヴィ=ストロース、G.シャルボニエ『レヴィ=ストロースとの対話』

レヴィ・ストロースとの対話作者: レヴィ・ストロース,ジョルジュ・シャルボニエ,多田智満子出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1970/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る 本書は、G.シャルボニエという人がラジオ番組で行…

キルケゴール『死に至る病』

死に至る病 (岩波文庫)作者: キェルケゴール,斎藤信治出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1957/01メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 62回この商品を含むブログ (102件) を見る とにかく最高クラスの知名度を持つ哲学書だ。「絶望」をテーマにした、一見する…

M・メルロ=ポンティ『行動の構造』

行動の構造作者: メルロ=ポンティ,滝浦静雄,木田元出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1964/10/30メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (10件) を見る この本はすばらしい。メルロ=ポンティは、「有名な割に人気がない」「おもしろい割に読…

西部邁『経済倫理学序説』

経済倫理学序説 (中公文庫)作者: 西部邁出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1991/11メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る 1983年に出版され、同年の吉野作造賞を受賞した、経済学者時代の西部邁の代表的作品のひとつ。「学者」時…

L.ウィトゲンシュタイン『哲学探究』

ウイトゲンシュタイン全集 8作者: ウィトゲンシュタイン,藤本隆志出版社/メーカー: 大修館書店発売日: 1976/01メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (21件) を見る ウィトゲンシュタインが、初期の代表作『論理哲学論考』に自ら限界を感じて…

ボードリヤール『象徴交換と死』

象徴交換と死 (ちくま学芸文庫)作者: ジャンボードリヤール,Jean Baudrillard,今村仁司,塚原史出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1992/08メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (29件) を見る ボードリヤールが本書で主張していること…

高橋伸夫『虚妄の成果主義』

虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ作者: 高橋伸夫出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2004/01メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 47回この商品を含むブログ (67件) を見る ベストセラーになった、「成果主義」批判の書である。 第1章は成果主義を批…